8/9の勉強会の時、腹部マッサージの実技をしていただきました。

実際に経験されていかがだったでしょうか?

ちょっと復習をしてみましょう。

 

*マッサージの意義

マッサージの意義は生体の治癒力を高め、病気の予防、治療および健康増進を行うとともに「手当て」を通して、良好な治療者ー患者関係を図ることです。

医療の原点は「手当て」であると言われています。そうであれば、マッサージはまさしく医療の原点に立脚した素朴な医療行為です。

最近は、タッチケアとしてまっさじーのもつこうした効果が再評価されつつあります。

 

*便秘ケアに効果的なマッサージの手法

効果的な手法には、軽擦法、揉捏法、叩打法、強擦法、圧迫法、振戦法がある。

1.軽擦法

施術者の手を患者の皮膚に密着させ、なで、さする手技です。

2.揉捏法(揉む手技)

主として筋肉を揉みほぐす手技。

3.圧迫法

手掌や指で圧迫する手技。

 

*便秘への具体的な方法

1.弛緩性便秘

弛緩性便秘とは、筋肉が衰えたことで腸の運動が鈍くなり、その結果として起こった便秘です。

筋肉の衰えは運動不足や加齢、無理なダイエットなどにより起こります。

高齢者の多い便秘です

まずは腹部全体に対し、時計回りに(大腸の走行に沿って)手掌軽擦法をゆっくり行います。

ついで、四指揉捏法(親指以外の手指で輪状あるいは線状に揉む)を大腸の経路に沿って行います。

《コツ》指先を腹に押し付け、円を描くようにするか、大腸の走行に対し、直角に交わるように線上で揉みます。1ヶ所5回程度揉捏し、移動していきます。(やりすぎ注意)

あわせて腰のマッサージをすると効果的です。

 

2.痙攣性便秘

痙攣性便秘は、過敏性腸症候群に代表されるように精神的な要因が関与します。したがって、心身リラクゼーションを含めた治療が適切です。

マッサージは、心身の緊張や抑うつ気分を改善することを目的として、心地よい施術を行います。

腹部へは軽い軽擦法を行い、その後に軽度の持続圧迫法(一定の圧を数秒間持続させる方法で指圧と同じ)を圧痛が合あるところに行います。大体10分以内で行ないます。

 

3.直腸性便秘

直腸性便秘は、直腸まで降りてきた便が排出されずに我慢を続けると発症してしまします。仕事の都合や外出先で便意を催しても我慢する状況が多くあります。そうすると、身体が直腸に便がある状態になれてしまい、腸に溜まった便は水分を吸収されてカチカチに固くなります。固まった便の排出は非常に困難です。

直腸の感覚が鈍くなるのは我慢癖だけでなく、下剤や浣腸を多用していると、薬の副作用で直腸のお神経が鈍ってしまうこともあります。

直腸の感覚が鈍化した場合・・・トイレに行く時間を生活リズムの中に組み込んで習慣化

便秘になった場合・・・便が固いままだと便意が感じにくくなります。食生活を見直して、水分補給と食物繊維を多く含む食品を摂るようにしましょう。まず便秘を治せば便意も正常に感じるように感覚が戻ってきます。

骨盤底筋の働きが悪化したために起こる場合・・・排便時の姿勢や力み方を正しくする。(排便時には前傾姿勢になる。踵を少し上げる。力むときにわき腹と背中の筋肉を意識する)便意を感じたら我慢しない。

大腸を綺麗にしても直腸で詰まっていては便秘はよくならないので、便秘で悩んでいるときは患部と原因を特定しておきましょう。

講義でも言われていましたが、看護師であれば肛門に摘便をするように指をいれてみて、便が降りてきているか否かを確認して、まずはそこの便を取り除くことが一番です。

介護士やヘルパーさん・・・介護されているご家族でも、肛門の周りを少し押しながら肛門を開くような感じにすると刺激になるのでよいです。

直腸は骨盤神経によって支配されているので、仙骨部周辺にやや強めの圧迫法をリズミカルに行います。

 

 

今、治療や看護についてエビデンスを問われますが、便秘に対するマッサージ治療に関してはいろいろな研究もされており、今後さらに臨床エビデンスを積み上げて行く必要が合うと言われています。

ということは・・・今回実技を受けられた皆さんが其々の施設等で腹部マッサージを取り入れて、その実際を研究発表していかれるのもエビデンス確立の一助となっていいのではないでしょうか。

 

参考文献: 便秘ケアを極めるー患者の安全・安楽を重視したアセスメントとケア 安野富美子その他